板野サーカス

【英名】itano circus

アニメーターの板野一郎氏が生み出した戦闘演出。高速移動する戦闘機やミサイルなどの被写体を、同じく高速移動するカメラで撮影すること。被写体とカメラの軌道に加え、レンズの焦点距離も計算に入れて画づくりを行う。手前の被写体は広角レンズで撮影したかのように遠近感を強調し、奥の被写体は望遠レンズで撮影したかのような遠近感の圧縮効果を適用する。被写体の位置(画面の手前か奥か)や、部分(手先か顔か)などによって、広角レンズと望遠レンズを柔軟に使い分けるため、必ずしも物理的に正確なレンズ表現をするわけではない。戦闘機やミサイルの速度も、カメラや他の被写体との位置関係に応じて柔軟に変更する。3DCGアニメーションは物理的に正確な表現を得意とするため、3DCGで板野サーカスを表現する場合には、演出意図に応じたアニメーターによる修正が必要となる。

板野サーカスにおいては、視聴者の印象に残る映像、高速移動していると感じる映像であることが最優先される。加えて、戦闘機の動き、ミサイルの軌道、爆炎の巻き込みといった数多くの要素を破綻なく組み合わせることで、2次元の画面内に、3次元的な奥行きや、画面の外まで含めた空間の広がりを演出できるという効果もある。

板野サーカスの命名者はスタジオぬえの宮武一貴氏(メカニックデザイナー)で、その語源は「源田サーカス」(戦闘機パイロットの源田実氏による編隊アクロバット飛行の通称)である。

参考映像

東京工科大学メディア学部の近藤邦雄氏、太田高志氏、渡辺大地氏、三上浩司氏による、板野サーカスのシミュレーション映像。板野サーカスは、各ミサイルに個性をもたせることで実現している。板野氏は大きな分類として目標物に対して一直線に飛ぶ「優等生タイプ」、標的の軌道を予測して先回りする「秀才タイプ」、ランダムに飛ぶ「劣等生タイプ」の三種が同時に飛行することで複雑なシーンを構成したと語っている。このようなアニメーションを作成するには、職人的な技術と多大な作業時間を要する。そこで本研究では、各ミサイルの特徴をアルゴリズム化し、目標物(戦闘機)の移動に合わせて自動的に軌跡を生成している。本映像では、「優等生タイプ」の軌道をシアン、「秀才タイプ」の軌道をマゼンタ、「劣等生タイプ」の軌道をイエロー、戦闘機の経路を赤色で表現している

映像情報メディア学会誌 : 映像情報メディア 68(2), 121-124, 2014-02-01
一般社団法人映像情報メディア学会
『ゲーム制作技術とインタラクティブコンテンツデザインの動向』より引用

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