2017.12.13 Wed

Before&Afterで学ぶポートフォリオ制作&作品制作>>ヒューマンアカデミー公開講座レポート

[PR]

就職活動に使うポートフォリオは、見る人、すなわち採用担当者の気持ちや立場を考えてつくる必要がある。独り善がりなものを送っているようでは、採用されるどころか面接にすら呼んでもらえない。大事なのは、自分自身とポートフォリオを客観視することだ。そのために必要なことをポートフォリオの具体例を使って解説するセミナー「ポートフォリオ"特効"ゼミ」が2017年11月18日にヒューマンアカデミー 秋葉原校で開催された。本記事では、セミナーで語られた内容のいくつかをピックアップして紹介する。なお、本セミナーは2018年1月13日(土)にも開催されるため、全てを知りたい人は会場へ足を運んでほしい(セミナーの詳細はこちら)。

総合学園ヒューマンアカデミー 秋葉原校

秋葉原校ゲームカレッジには、企画・シナリオ、プログラマー、グラフィック(CG)、アニメーションの4専攻があり、グラフィック専攻とアニメーション専攻ではゲーム開発に特化した2D・3DCG制作に加え、VFX・映像制作やデッサンも学べる。加えて、就職活動に必要なデモリールとポートフォリオの制作指導も徹底して行われている。
ha.athuman.com/akihabara/

プロになるためには、どうすればいいですか?

「ポートフォリオ"特効"ゼミ」は、2015年4月以降、不定期開催してきたヒューマンアカデミーとCGWORLDのコラボセミナーだ。11月に開催した本セミナーでは、日高千秋氏(ヒューマンアカデミー 講師/フリーランス CGアニメーター)と筆者である尾形美幸(ボーンデジタル 編集者)が講師を務め、「Before&Afterで学ぶポートフォリオ制作&作品制作」をテーマに、「そもそも、ポートフォリオをつくる目的は何なのか?」という基礎から、ポートフォリオや作品をブラッシュアップする方法までを幅広く解説した。セミナーの最後には個別相談の時間も設けた。

▲【左】ヒューマンアカデミーの普段の講義風景/【右】講義中の佐藤智幸氏。佐藤氏はフリーランスのVFXアーティストで、『After Effects NEXT LEVEL』(2015/ボーンデジタル)の著者でもある。佐藤氏や前述の日高氏をはじめ、制作現場での経験も豊富な講師陣から、現場で働く人の視点、採用担当者の視点での指導も受けられる点が同校のメリットだ


話の冒頭、日高氏は「学生のよくある質問」として以下の3つを挙げた。

学生のよくある質問
プロになるためには、どうすればいいですか?
どんな作品をつくったらいいですか?
どうやってクオリティを上げればいいですか?

以降では、ヒューマンアカデミーの学生たちが制作したポートフォリオの具体例を使い、前述の質問への回答を紹介していこう。

Point01:クオリティが高いからといって、採用されるわけではない

未経験の新人がプロになるためには、CGプロダクションやゲーム会社に入り、そこでの仕事を通してプロに必要なノウハウを吸収し、経験を積み成長するのが一番の近道だ。そのためには、会社の採用担当者に「この人に会ってみたい。雇ってみたい」と思わせる作品をつくる必要がある。では、採用担当者にそう思わせる作品とはどんなものだろうか?

意外に思う人もいるかもしれないが「クオリティが高いからといって、必ずしも採用されるわけではありません」と日高氏は解説した。当たり前だが、会社が人を雇えば、その人に対して定期的に給料を支払う必要がある。そのためには、定期的に利益を生み出す必要がある。たとえクオリティの高い作品をつくれる人だとしても、その人に割り当てる仕事が社内になければ、採用しても赤字になってしまうのだ。「上手い人だけど、うちの会社ではこの人に割り当てる仕事がない......」という理由で採用が見送られるケースは多々ある。

つまり応募する会社の仕事内容を事前によく調べ、その会社が新人に割り当てやすい仕事を連想させるような作品をポートフォリオ内に入れておけば効果的というわけだ。「自分の好きなものに加え、採用担当者が『この人であれば、仕事を割り当てやすい』と思える作品も制作することをお勧めします」(日高氏)。

▲この学生はロボットが好きで、人型はもちろん、上のようなネコ科の動物をイメージしたロボットも制作していた。しかし制作現場では、主役級ロボットなどの重要なモデルの制作を新人に担当させるケースは少ない。まずは小道具や背景の一部などの制作を通して経験を積ませ、その会社が掲げるクオリティを満たせるようになった後に、重要なモデルの制作を担当させるのが一般的なやり方だ。そのためヒューマンアカデミーの講師は「自分のテイストでいいから、背景制作にも挑戦してみては?」とアドバイスした


▲前述のアドバイスを受けて、先の学生が制作した背景のモデル。ロボット好きの学生らしく、ハードサーフェスの海上基地を制作した


▲先の学生はゲーム業界志望のため、少ないパーツでリッチな背景を制作することを自身に課していたという。加えて決められた期間内に完成させることも意識しており、【左】のページの右上にはスケジュール表も掲載している。「制作現場では、決められた期間内に、決められたクオリティの成果物をつくることが求められます。そのため学生のうちからスケジュールを意識することは重要ですし、それをポートフォリオに掲載すれば、スケジュールに対する意識をアピールできます」(日高氏)


▲【左】先の学生が2013年にBlenderで制作したモデル/【右】2016年に初めて3ds Maxで制作したモデル。「学生の中には『上手い人は最初から上手い。自分とはちがう』といった投げやりな考え方をする人もいます。でも、誰でも最初は上手いわけではないのです。そんな中で、諦めずに制作を重ねた人は上手くなっていきます。この学生の場合も、入学から7ヶ月間で急激に成長しました。このように、過去のポートフォリオと現在のものとを比較すれば、その人の成長度合いを確認できます。そういうメリットもあるので、定期的にポートフォリオをブラッシュアップしていくことをお勧めします」(日高氏)

Point02:お客様に喜んでいただくことを考えているか?

プロの仕事と学生の自主制作の大きなちがいは「映像の視聴者やゲームのプレイヤーなど、お客様に喜んでいただくことを考えているか?」にあると日高氏は語った。「単純に自分の好きなものをつくるのではなく、どんなお客様に、どういう形で楽しんでいただくかまで考えてつくっていけば、作品の見せ方も自ずと変化していきます」(日高氏)。

▲ブラッシュアップ前【左】と、ブラッシュアップ後【右】のポートフォリオ。【右】ではモデルにポーズを付けて小道具を持たせ、背景の中に配置し、ライティングも施している。こうすると画にストーリー性が生まれ、見る人の想像力をかきたて、惹きつける力が増す。「この作品をつくれる人であれば、お客様を楽しませる画づくりができるだろう」と採用担当者に期待させる力もあると言える

Point03:講師によるチェックと、それを踏まえた修正を繰り返す

作品のクオリティを上げたいなら、講師によるチェックと、それを踏まえた修正を繰り返すことが効果的だと日高氏は解説した。実際に制作現場のプロも、ディレクターやスーパーバイザーによるチェックと、それを踏まえた修正を繰り返すことで作品のクオリティを上げているため、このやり方は理に適っていると言える。「学内の講師に加え、セミナーなどで出会ったプロにもポートフォリオを見せ、チェックしてもらうことをお勧めします」(日高氏)。

▲【左】学生作品の上に、ヒューマンアカデミーの講師によるチェックの内容が書き込まれている。実際のチェックは口頭で行われており、その内容を学生が書きとめたものだという/【右】先のチェックを受けてブラッシュアップした作品の上に、さらなるチェックの内容が書き込まれている。このように、1度のチェックと修正で終わるのではなく、講師のOKが出るまで修正を繰り返すことで上手くなっていくという


▲完成した先の作品を掲載したポートフォリオ

Point04:見る人が誤解やストレスなく主役に目を通せるよう配慮する

作品に加え、それを掲載するポートフォリオも、チェックと修正を繰り返すことでクオリティを上げることができる。そんなポートフォリオのブラッシュアップ方法については筆者が解説した。ポートフォリオのページに作品をレイアウトする際には「そのページの主役は何か?」を意識して、見る人が誤解やストレスなく主役に目を通せるよう配慮する必要がある。

▲学生作品の上に、筆者によるチェックの内容が書き込まれている。編集者としての筆者の経験を踏まえて、見る人にストレスや誤解を与える可能性のある点を指摘させていただいた


▲先のチェックを受けて学生自身に修正していただくのが理想的ではあるが、今回は本セミナーの参考資料を用意する必要があったため、筆者自身が修正まで行なった。今回の修正で最も重視したのは、主役である作品を最大限大きく掲載することだ。そのため、文字量は最小限に留め、文字サイズも思いきって小さくしている。市販の画集に近いレイアウトになっていると思う。また、特別な理由がない限り、画像やテキストの位置とサイズを「揃える」ことも意識した。ページ内の要素が不揃いだと、見る人の視線の移動量が不必要に多くなり、ストレスを感じさせる要因となる。自身の美意識や、ていねいな作業ができることをアピールする上でも、整然としたレイアウトにすることは効果的だ






TEXT_尾形美幸(CGWORLD)

記事が気に入ったらシェアしよう!

New Post最新の記事はこちら

Ranking今週の人気記事

Findキーフレーズから探す

Top