2017.11.22 Wed

「やりたいこと」を明確に!三者三様のポートフォリオ>>吉田学園 情報ビジネス専門学校 内定者インタビュー

北海道 札幌駅から2駅という好立地にある吉田学園 情報ビジネス専門学校(以降、吉田学園)のコンピュータグラフィックス学科(2年制)では、2015年度からキャラクターアニメーション教育に力を入れている。その教育方針を反映し、2017年3月の卒業生は全員がアニメーターとして就職した。2018年3月卒業予定の在校生も、その多くはアニメーターを目指しているものの、中にはモデラーとして、あるいはモデラー兼アニメーターとして内定を受けた学生もいる。そんな学生の1人は「アニメーション教育に特化した学校ですが、自分の努力次第でほかの方向にも進めます」と語ってくれた。本記事では、異なる職種で内定を受けた3人の在校生へのインタビューを通して「自分の望む仕事に就くための、学生時代の過ごし方」を探っていく。

成吉一真氏

2016年4月に吉田学園へ入学。当初はモデラー志望だったが、1年次の後期にアニメーター志望へ転向。2年次の前期に株式会社バンダイナムコスタジオから内定を取得。2018年3月卒業予定。

木村飛翔氏

中学時代からモデリングを趣味にしており、2016年4月に吉田学園へ入学した後は、本格的にモデリングとアニメーションを学ぶ。2年次の前期にモデラー兼アニメーターとして、株式会社アレクトから内定を取得。2018年3月卒業予定。

小西 麻里乃氏

「3DCGを本格的に学びたい」という動機から2016年4月に吉田学園へ入学。1年次の後期に志望職種をモデラーに定める。2年次の前期にモデラーとして、有限会社カナバングラフィックスから内定を取得。2018年3月卒業予定。

www.yoshida-jobi.jp

Case1:成吉一真氏「志望職種が変わっても『ドラゴンが好き』という点は一貫しています」

CGWORLD(以降、C):手始めに、吉田学園へ入学しようと思ったきっかけを教えていただけますか?

成吉一真氏(以降、成吉):自分は昔からゲームが好きで、色々なタイトルをプレイしてきたため、高校時代に「何を将来の仕事にするか?」を考えたとき、「ゲームをつくる仕事がしたい」と思ったのです。ゲームの仕事について調べていく中で、プログラムや企画、グラフィックス、サウンドなど、いくつかの職種があることを知り、グラフィックスをやりたいと思うようになりました。そこで吉田学園のコンピュータグラフィックス学科のオープンキャンパスに何回か参加してみて、実際にCG制作を体験した後、入学を決めました。

C:どんなゲームをプレイしてきたのか、具体的なタイトルを教えてもらえますか?

成吉:バンダイナムコスタジオの開発タイトルだと、『ゴッドイーター』シリーズ(※1)をやっていました。今年発売された『鉄拳7』(※1)も買いましたね。ほかのタイトルでは『モンスターハンター』(※2)シリーズもやり込んできました。

※1  バンダイナムコエンターテインメントの製品で、開発はバンダイナムコスタジオが担っている。

※2  カプコンが開発、販売しているタイトル。

C:好きなゲームの方向性とデモリールの内容がちゃんと一致していますね。

▲成吉氏が就職活動で使用したデモリール。ドラゴン、狼のようなクリーチャー、チーターなど、人型以外のキャラクターアニメーションから見せている点が印象的だ。学校の授業内で制作した課題は一切入っておらず、全て自主制作で構成されている。デモリールを見るだけで「ドラゴンやクリーチャーが好き」「カッコ良いインゲームアニメーションをつくりたい」という成吉氏の志望が伝わってくる


成吉:このデモリールは3月の春休みに家にこもって一気につくりあげたものなので、今見ると「ここがダメ」「もっと直したい」と思う部分が多々あります。3月の時点だと、授業では人型のキャラクターアニメーションしか習っていなかったので、自分の中のイメージや、動画投稿サイトの映像を頼りにつくりました。好きなゲームをプレイする中で「良いな」と思った動きも参考にしましたね。ドラゴンは実在しない生き物なので特に難しかったですが、自分のやりたいことをアピールできるデモリールに仕上がったので、がんばったかいがありました。

C:デモリール内のモデルやリグはフリー素材ですか?

成吉:そうです。モデルやリグを自分で用意する時間も技術力もなかったので、インターネット上で無料配布されているデータを使いました。

C:1年後期の途中まではモデラー志望だったそうですが、春休みにデモリールをつくり込んだ時点では、完全にアニメーター志望へ転向していたわけですね。

成吉:1年の1月に大手ゲーム会社のインターンシップへ参加して、ポートフォリオを見てもらったときに、モデラーとしての自分の実力不足を理解したのです。「この実力だと、今からがんばっても、卒業までの残り時間で採用レベルに達するのは難しい」とはっきり言ってもらえたことで、アニメーター志望へ転向する決断ができました。自分はアニメーションの授業も楽しんでいましたし、モックスの住岡義和先生が監修したカリキュラム(※3)はとても素晴らしかったので、「授業の課題を着実にこなしていけば、きっと上手くなれる」と信じられました。

※3 住岡氏のカリキュラムについては、CGWORLD.jpの記事「先生に聞く。第5回:住岡義和先生」を参照してほしい。

▲1年1月時点の成吉氏のポートフォリオの一部。掲載作品の多くが、ドラゴンやクリーチャーなどの自主制作で占められている


C:モデリングでも、アニメーションでも、「ドラゴンを自主制作する」という点は共通しているのが面白いですね。

成吉:確かに、志望職種が変わっても『ドラゴンが好き』という点は一貫していますね。モデラー志望だった頃はドラゴンの形をつくることに熱中していましたが、アニメーションを学ぶ中で「動きを付けることも楽しい」と思えるようになりました。吉田学園のオープンキャンパスに参加して、初めてアニメーションを付けたときには、あまりに地道な作業の繰り返しに驚きもしましたし、大変だとも感じました。でも、今はもっともっと経験を積んで、アニメーターとして成長したいという思いが強くなっています。バンダイナムコスタジオに入社したら、色々なタイトルのアニメーションに関わって、いずれはCEDECで発表できるようなアニメーターになりたいです。今年の夏に内定者としてCEDEC 2017のボランティアスタッフをやったことで、CEDECでの発表が目標のひとつになりました。

C:その目標が実現したら、ぜひ取材に伺いたいです。

成吉:お願いします!

Case2:木村飛翔氏「自分の好きなキャラクターのモデリングを前面に押し出しました」

C:木村さんの場合は、入学前からモデリングを趣味にしていたそうですね。

木村飛翔氏(以降、木村):中学2年のとき、好きなキャラクターが3Dになって動いている動画をインターネット上で見かけたことがきっかけでした。「自分も好きなキャラを動かしたい!」と思い、早速3D制作についてネットで調べ、メタセコイアを購入したのです。試行錯誤しながら1年がかりで1体のキャラクターをモデリングして、それがすごく嬉しくて楽しくて、モデリングが趣味になりました。高校は情報処理の授業が充実しているところを選び、家では好きなイケメン、美少女キャラクターばかりをつくってはネットに投稿し、褒められたり、叩かれたりしてきました。だから自然と自分の好きな3D制作を仕事にできたらいいなと思うようになり、吉田学園のオープンキャンパスに参加したのです。

C:そういう経緯があるから、木村さんのポートフォリオの冒頭には「好きなイケメン、美少女キャラクター」が並んでいるわけですね。

▲【左】映画『楽園追放 -Expelled from Paradise-』(2014)/【中】【右】木村氏の作品のひとつ。同作のキャラクターをモデリングしている。© 東映アニメーション・ニトロプラス/楽園追放ソサイエティ


木村:ポートフォリオには、吉田学園に入学してからMayaで自主制作したモデルに加え、高校時代にメタセコイアでつくったモデルも2体掲載しています。モデリングの授業を担当している大澤龍一先生からは、自主制作に対しても色々とアドバイスをもらえたので心強かったです。

C:吉田学園ではアニメーションの授業も数多く受けていると思いますが、モデリング作品とデッサンのみで就職活動を行なったのでしょうか?

木村:はい。アレクトには、自分の好きなキャラクターのモデリングを前面に押し出したポートフォリオだけを提出しました。最初の選考を突破して1ヶ月間のインターンシップに参加した際には、モデリングからアニメーションまで一通りの作業を実践したので、そこではアニメーションのスキルも評価されたようです。

C:「二次創作(既存作品を扱った作品)は評価しません」と公言する会社もよくありますが、アレクトの場合は問題なかったのでしょうか?

木村:私の面接をしてくださった方々は全員男性で「われわれでは若い世代の女性に受けるテイストが理解しきれませんから、それを熟知している人に入ってほしいと思っていました」とおっしゃっていました。だから、最新のアニメやゲーム、マンガが好きで、それを真似た作品をつくってきた私の経験が歓迎されたようです。

C:木村さんの経験が、先方の需要にマッチしたわけですね。最後に、今後の抱負を聞かせていただけますか?

木村:インターンシップを経験したことで、モデリングもアニメーションも、自分の知らないことが多々あるんだと理解できました。例えばデータを提出する際には、データの名前、つくり方、フォルダの構造など、細かいルールが大量にあって、それらを見落とすことなくデータをつくるのはすごく大変でした。3D制作を始めたきっかけはモデリングですが、アニメーションも好きなので、両方の経験を積み、実力をつけていきたいです。

Case3:小西 麻里乃氏「何をどんな順番で掲載するか、考えに考えました」

C:2番目にお話を伺った木村さんはモデラー兼アニメーターとして採用されましたが、小西さんの場合はモデラーとして採用されたそうですね。木村さん以上に、吉田学園では異色の存在ではないでしょうか?

小西 麻里乃氏(以降、小西):そうだと思います。吉田学園はアニメーション教育に特化していますが、自分の努力次第でほかの方向にも進める懐の広さを持ち合わせた学校です。私の場合、入学当初は漠然と「3Dを仕事にしたい」と思っていただけで、志望業界も職種も定まっていませんでした。1年前期にモデリング、リギング、アニメーション、コンポジットなどを幅広く経験し、特に可愛いキャラクターのモデリングが楽しいと感じたので、可愛いキャラクターをたくさんつくっているカナバングラフィックスに、モデラーとして応募しようと決めました。

C:その気持ちがポートフォリオにもしっかり反映されており、パラパラッとめくっただけでモデラー志望だと伝わる構成になっていますね。2番目に掲載された作品はカナバングラフィックスがつくった『LINE ぷるぽん』(2017)のキャラクターなので、「カナバングラフィックスに入りたい!」という気持ちがストレートに伝わります。ほかでもない、カナバングラフィックスに向けてつくられたラブレターに仕上がっている点が印象的です。

小西:『LINE ぷるぽん』を含む自主制作の就職用作品は、1年の春休みから2年の春にかけての3〜4ヶ月で制作しました。何をどんな順番で掲載するか、考えに考え、モデリングの大澤先生、担任の田中雅継先生などに何度も相談しました。田中先生からは「カナバングラフィックスの作品を掲載することが、吉と出るか凶と出るかは私にもわかりません。もしかしたら、歓迎されないかもしれません」と言われましたが、載せたかったので載せました。

▲小西氏がポートフォリオの1番目に掲載した自主制作の作品。単純なポリゴンモデリングに留まらず、ヘアやファーを使った表現にも挑戦している点が目を引く


▲小西氏がポートフォリオの2番目に掲載した自主制作の作品。カナバングラフィックスが制作した『LINE ぷるぽん』(2017)のキャラクターを再現している


▲小西氏がポートフォリオの4番目に掲載したグループ作品。学内の有志によって授業外の時間に制作された。作品そのものではなく「作品制作の中で、小西氏がどのような役割を果たしたか」にフォーカスして紹介されている点に注目してほしい


▲前述のポートフォリオを仕上げる以前、1年後期の時点での同作紹介ページ。この見せ方では、作品内での小西氏の役割がまったく伝わらない。両者を見比べると、見せ方によってポートフォリオの魅力は大きく変わることが理解できる


▲小西氏がポートフォリオの最後に掲載した写真作品。高校時代からデジタル一眼レフカメラでの写真撮影を趣味にしており、撮りためた数多くの写真の中から厳選したものを掲載したという


C:ご自分では、ポートフォリオの何が評価されたと感じていますか?

小西:技術力はまだまだだと自分でも自覚していますし、カナバングラフィックスでの面接時に言われもしました。一方で、色々なことに幅広く挑戦しようとする姿勢が良いとも言っていただきました。やりたいことがあれば、授業の内容に関わらず、自分で調べ、先生にも聞き、実践してきたことが良かったのだと思います。この姿勢を続けていれば、入社後も成長するだろうと期待してもらえたのではないでしょうか。自分でデザインし、モデリングした可愛いキャラクターを世の中に送り出すことが今の私の目標です。その実現を目指して、今後も制作を続けていきたいです。





TEXT&PHOTO_尾形美幸(CGWORLD)

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