2017.05.31 Wed

ゼロから特訓!ビジュアルデベロップメントNo.07>>Visual Development : Animation Film in USA

こんにちは。ビジュアルデベロップメントアーティスト(Visual Development Artist)の伊藤頼子です。連載 第5回では一点透視図法(One Point Perspective)について、第6回では二点透視図法(Two Point Perspective)について学びました。今回は三点透視図法(Three Point Perspective)について解説していきます。3つの透視図法のちがいを理解し、ストーリーに応じて的確に使い分けられるようになりましょう。

伊藤頼子氏(ビジュアルデベロップメントアーティスト)

三重県出身。短大の英文科を卒業後、サンフランシスコのAcademy of Art Universityに留学し、イラストレーションを専攻。卒業後は子供向け絵本のイラストレーション制作に携わる。ゲーム会社でのBackground Designer/Painterを経て、1997年からDreamWorks AnimationにてEnvironmental Design(環境デザイン)やBackground Paint(背景画)を担当。2002年以降はVisual Development Artistに転向し、『Madagascar』(2005)でAnnie Award(アニー賞)にノミネートされる。2013年以降はフリーランスとなり、映画やゲームをはじめ、様々な分野の映像制作に携わる。2013年からはAcademy of Art UniversityのVisual Development Departmentにて後進の育成にも従事。2017年以降は拠点をロサンゼルスに移し、Sony Pictures Animationにて映画制作に携わる。
www.yorikoito.com

三点透視図法による画づくりと、その効果

第6回で解説した二点透視図法では、2つの消失点を水平線上に設定しました。三点透視図法では、水平線の上方、あるいは下方に3つ目の消失点を設定します。画面内の線は、3つの消失点のいずれかに向かって収束します。三点透視図法を使うと上下方向の遠近感が強調されるため、ダイナミックな印象の画づくりが可能となります。

▲【左】水平線(赤色の直線)の上方に3つ目の消失点を設定すると、モチーフを見上げる構図になります/【右】水平線(赤色の直線)の下方に3つ目の消失点を設定すると、モチーフを見下ろす構図になります


三点透視図法を使う場合には、カメラの広角レンズを通した見え方を参考にすると、画面構成がしやすいでしょう。カメラのレンズは、望遠レンズ、標準レンズ、広角レンズの3種類に大別され、このうち広角レンズは、撮影できる範囲が最も広い一方で、画の中心から遠い被写体ほど歪曲するという特徴があります(※)。

※カメラのレンズについては、「レンズと画角のちがいを知り、表現に活かす>>CG制作者のための画角講座」でより詳しく解説しています。こちらも参考にしてください。

Lesson11:三点透視図法を使い、上下方向の遠近感を強調する

三点透視図法を使い、モチーフの高さを強調する画づくりをしてみましょう。

▲【左】モチーフを見上げる構図(あおり)にすると、高さを強調できます/【右】モチーフを見下ろす構図(俯瞰(ふかん))も、見上げる構図と同様に高さを強調できます。ただし、見上げる構図と、見下ろす構図とでは、見る人に与える印象が変わります

名画のショットを通して、透視図法を学ぶ

第6回に続いて、透視図法を効果的に使っている名画のショットも引用しながら、三点透視図法が見る人に与える印象を解説していきます。

▲【左】建物を見上げる構図にすることで、その高さが強調されています/【右】『The Fall(邦題:落下の王国)』(2006)ターセム・シン(Tarsem Singh)監督。このショットでは、鉄橋の高さが強調されています。このような構図は、見る人に圧迫感や威圧感を与える効果があります。加えて、三点透視図法が生み出すダイナミックなライン(赤色の矢印)が、画面の焦点(Focal Point)を強調しています


▲【左】『Citizen Kane(邦題:市民ケーン)』(1941)オーソン・ウェルズ(Orson Wells)監督。人物も見上げる構図にすることで、圧迫感や威圧感を強調できます。そのため「相手に見くだされている」という印象を与えることができます。このショットでは広角レンズを使っているため、室内の広い範囲が撮影されています。一方で、画の中心から遠い被写体は歪曲しています/【右】『Black Narcissus(邦題:黒水仙)』(1947)マイケル・パウエル(Michael Latham Powell)監督。このショットでは、建物と人物を見下ろす構図にすることで、人物に対する優越感を表現しています。【左】のショットとは対照的に、「相手を見くだしている」という印象を与えることができます


三点透視図法が見る人に与える印象を理解し、ショットのストーリーに合わせた画づくりを目指しましょう。このとき、水平線と、3つ目の消失点との距離に注意してください。両者の距離が近すぎると、不自然な画になってしまいます。まずはサムネイルを描いてみて、どの程度の距離が有効か、試してみると良いでしょう。


今回のレッスンは以上です。第8回も、ぜひお付き合いください。
(第8回の公開は、2017年7月を予定しております)





TEXT&ART WORK_伊藤頼子
EDIT_尾形美幸(CGWORLD)
PHOTO_弘田充

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