2017.03.29 Wed

CGのお仕事拝見! アニメーターの仕事

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3Dモデルの位置や形を1フレーム単位で変化させ、それらのフレームを連続再生すると動いているように見える。これがアニメーションの基本的な仕組みだ。そんなアニメーションのスペシャリストのことを、アニメーターとよぶ。本記事では、ディレクションシーズの4人のアニメーターへのインタビューを通して、アニメーションの仕事(※)を紐解いていく。

※1 モデラーの仕事については、同じくディレクションシーズへのインタビュー記事『CGのお仕事拝見!>>モデラーの仕事』で紹介している。こちらも参考にしてほしい。

中西 亮氏(アートディレクター)

株式会社ディレクションシーズ

PS2時代の3Dゲーム開発を経験した後、同社設立に参画。アニメーションとコンポジットのアートディレクションを担当している。

M氏(3DCGアニメーター)

株式会社ディレクションシーズ

TVアニメ『天元突破グレンラガン』に刺激され、アニメーターを志す。太田情報商科専門学校 3DCGコースを卒業後、2011年に新卒入社。

O氏(3DCGアニメーター)

株式会社ディレクションシーズ

当初はモデラー志望だったが、東京工科大学 メディア学部でCGやゲーム開発を学ぶ中で、アニメーションの面白さを知る。2012年新卒入社。

A氏(3DCGアニメーター)

株式会社ディレクションシーズ

高校時代にプレイしたリズムゲームがきっかけで、太田情報商科専門学校 3DCGコースへ入学。卒業後、2013年に新卒入社。

株式会社ディレクションシーズ

2004年の設立以来、10年以上の長きにわたりパチンコ・パチスロ遊技機の液晶映像開発を専門に手がけてきた。特にアニメを題材とするセルルックの3D映像制作を得意としており、スタッフの中には作画アニメの経験者もいる。一方で、2016年以降はコンソールゲーム、スマホゲームアプリ向けの3D映像制作にも取り組んでいる。
www.d-seeds.com/index.html

チェックする側と、される側、双方の歩み寄りが大切

同社の仕事は、午前10時にスタートする。「始業時間の10〜15分前に出社して、10時になったら制作開始。11時から定例の社内チェックが始まります」(M氏)。このチェックでは、3DCGアニメーターが制作した遊技機用液晶映像のカットやインゲームモーションを、アートディレクターの中西 亮氏が確認する。

「制作初期からクライアントへの提出直前まで、様々な段階でチェックを重ね、完成度を上げていきます」(中西氏)。遊技機案件では、1人のアニメーターにカット全体の制作を任せ、画づくりのセンスを磨けるよう配慮しているという。「難しいカットは熟練者に、簡単なカットは新人にわりふっています。動きや演出の良い悪いだけでなく、決められた仕様を守っているかどうかもチェックの対象です」(中西氏)。

例えば、尺が合っているか、ビデオコンテに沿った画角になっているかなどがチェックされる。「入社直後は『クライアントからいただいた仕事をやっている』という意識が薄かったので、発注側の意図を汲み取らず、自分のつくりたいようにつくってしまいました」(O氏)。出来上がったカットは、仕様からかなり逸脱しており、やんわりと注意されたとふり返る。「思い出す度に嫌な汗が吹き出してくる、苦い記憶です」(O氏)。

初仕事では、M氏とA氏も同じような失敗をやってしまったと口を揃える。「遊技機もゲームも、仕様を理解することは、初心者にとって簡単ではありません。3人の失敗は、私の説明や指示が不足していたからとも言えます。彼らだけでなく、私も嫌な汗が出てきますよ」(中西氏)。チェックする側と、される側、双方の歩み寄りがなければ良い仕事はできないと、中西氏は続ける。

遊技機とインゲーム、一番のちがいはカメラの扱い

チェックが済むと、各々の制作が再開される。約1時間の昼食休憩を挟んだ後、午後も制作を続け、16時頃にクライアントへデータを提出する。「例えばインゲームの攻撃モーションであれば、あらかじめクライアントから『5時間』『10時間』といった制作時間が提示されます。まずはその時間内でボディの動きを付け、提出します」(M氏)。OKが出れば、人型のキャラクターなら髪や衣服、クリーチャーであれば羽や尻尾の動きを付け、モーションを仕上げていく。

「遊技機とインゲームの一番のちがいはカメラの扱いです。遊技機の場合は、カメラに映る画が良ければ、それ以外の部分は破綻していても問題ありません」(中西氏)。例えば上半身だけがカメラに映るなら、下半身のアニメーションは付けなくても良い。一方でインゲームの場合は、リアルタイムにカメラが操作されるため、どこから見ても破綻のないモーションを付ける必要がある。

「どちらの仕事が難しいとは一概に言えず、それぞれに別種の難しさがあります。遊技機の場合、カメラによって切り取られた画の範囲内で、空間の奥行きや広さ、キャラクターのアクションを伝える必要があります。」(A氏)。カメラに映らない領域の風景や動きまで、観る人が想像できるような画づくりが求められるというわけだ。

同社の終業時間は18時で、残業がある場合は20時頃まで制作を続ける。

以上のような日々を過ごす若手3名は、学生時代の自分をふり返り、次のように語ってくれた。「私の場合、在学期間の半分以上を受け身の姿勢で過ごしました。自分で制作環境を用意して、どんどん作品をつくれば良かったと、3年の後半になって後悔しました」(O氏)。「アニメーションを付けるだけでなく、IKやFK、コンストレインなど、効率化のための機能も勉強しておけばよかったですね」(M氏)。「ソフトの使い方だけでなく、12の法則、リミテッドアニメーションの仕組みなど、理論も勉強したかったです」(A氏)。3名とも、プロになり経験を積んだことで、自分に足りないものに気付けたと笑う。「今からでも遅くはないという思いで、日々経験を重ねています」(O氏)。

アニメーションのワークフロー

Step01:レイアウト

同社のアニメーターは、パチンコ・パチスロ遊技機用液晶映像と、PS4ゲームなどのインゲームモーションの両方を制作する。以降では、前者のワークフローを中心に解説しよう。「まずはビデオコンテ(絵コンテを動画にしたもの)を参照しながら、各カットにおけるキャラクターのポージングと、画面内でのレイアウトを決めていきます。この段階では、まだアニメーションは付けません」(中西氏)。同じ3Dモデルでも、ポージングとレイアウトが変われば、見る人に与える印象も大きく変わる。「俊敏さを強調したいのか、強さを強調したいのかなど、ビデオコンテをつくった人の演出意図を読み解くことが重要です」(A氏)。

Step02:アニマティクス

レイアウト工程で設定した各ポージングの間を、粗いモーションでつないでいく。この工程を同社ではアニマティクスと呼んでいる。「ここで重視するのは、ポージングやカットが切り替わるタイミングです。タイミングが変われば、映像のテンポが変わります。演出意図に沿った気持ちの良いテンポにするため、カットの尺(長さ)を変更することもあります」(中西氏)。遊技機用の映像は途中で分岐することが多いため、映像全体の尺は厳密に決められている。見せ場となるカットの尺を長くとりたければ、代わりに他のカットの尺を削り、映像全体の尺には変化がないよう調整することも大切な仕事だ。

Step03:仕上げ

前工程で付けた粗いモーションをブラッシュアップして、アニメーションを仕上げていく。「多くの場合、ボディの動きを付けた段階でクライアントに見ていただき、依頼内容に沿っているか確認します。OKが出た後に、顔・髪・衣服などの動きを付け、完成度を高めていきます」(M氏)。細部までつくり込んでからクライアントのチェックに出すと、大幅な修正が発生した場合のやり直しにかかる時間が長くなってしまう。そのため、途中段階で確認してもらうことが大切だという。なおインゲームモーションの場合には、リアルタイムにカメラが操作されるため、レイアウト工程は存在しない。同社では、アニマティクスと仕上げのみを担当しているという。

Step04:エフェクト

遊技機用の映像制作では、一部のエフェクト制作もアニメーターの仕事となっている。上では、FumeFXという3ds Max用のプラグインを使い、炎を制作している。「流体シミュレーションをはじめ、複雑な計算を要する映像内のエフェクトに関しては、アニメーターが担当します。一方で、遊技機特有の図柄に関連するエフェクトなどはコンポジターが後工程で追加します」(中西氏)。3D空間の中でキャラクターとエフェクトが立体的に組み合わさると、アニメーションの見映えがさらに良くなる。「アニメーションだけでなく、エフェクトの腕も磨き、様々な画づくりに対応できるデザイナーになることが今の目標です」(O氏)。





TEXT_尾形美幸(CGWORLD)
PHOTO_弘田 充

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