2016.08.12 Fri

CGの専門学校で何を学ぶのか?どう学ぶのか?

ゲーム・アニメ・映画やTV番組のVFX・イベントやコンサート映像・広告など、CGは多彩なコンテンツやメディアの中で活用されている。そんなCGを「仕事にできないか?」「仕事にしたい!」と思った人の選択肢のひとつが、CGを学べる教育機関への進学だ。なお、ひとくちにCGの教育機関といっても、専門学校・美術系大学・理工系大学・情報系大学・スクール・オンラインスクールなど、様々な種類がある。本記事では、そんな数ある教育機関の中から全日制の専門学校に焦点を当て『何を学ぶのか?』『どう学ぶのか?』を紹介しよう。

※本記事は、『CGWORLD Entry』vol.15(2016年3月発行号)掲載の「CGの専門学校で、何を学ぶのか?どう学ぶのか?」を再編集したものです。

教育機関でCGを学ぶメリット

教育機関でCGを学ぶメリットは大きく分けて3つある。

第1のメリットは設備だ。CGを学ぶのに必要な機材・書籍・資料などが用意されており、何を買えば良いのか、自分でゼロから模索する必要がない。第2のメリットは情報だ。制作手法、業界事情、就職ノウハウといった情報を効率よく収集できる。第3のメリットは環境だ。同じ目標をもった級友、指導してくれる教員がいれば、客観的に自分の実力を判断しやすいし、学習のモチベーションを高めやすい。

充実した学生生活を送るための、学校選びのポイント

Point01:学習期間

経済事情、実力、就職事情などを踏まえ、最適な年数を見極める

原則として、日本の小学校は6年制、中学校と高校(全日制)は3年制と決まっている。一方で、専門学校の学習期間は様々だ。例えば2016年現在、京都コンピュータ学院アート・デザイン学系の場合、2年制・3年制・4年制の3種類を設けている。東京デザインテクノロジーセンター専門学校CG系の場合は3年制・4年制、日本電子専門学校CG・映像系の場合は2年制・3年制という選択肢がある。

基本的に、学習期間が短ければ短いほど学費は安くなる。実際、経済的な事情から2年制を選択する学生は少なくない。その代わり、かなり慌ただしい学生生活となる。例えば2年制の場合、早い人は1年の3月頃から就職活動を開始するため、学習だけに集中できる期間は実質1年程度だ。入学時点からそれを念頭に置き、しっかりと卒業後の進路を見定め、密度の濃い学生生活を送る必要がある。一方で4年制の場合には、入学してから自分の進路を探ったり、専門的な内容を深く学んだりする余裕がある。自分の経済事情や実力、目指す業界や会社の就職事情を踏まえつつ、どんな学生生活を過ごすべきか見極めてほしい。

▲日本電子専門学校のコンピュータグラフィックス研究科(3年制)では、アーティスト教育に加え、MayaのMELスクリプト、Python、HoudiniやNUKEによるプロシージャル(数式やスクリプトを使った手続き型)の制作方法といったテクニカル教育も受けられる。テクニカルに強いアーティストのニーズは高いため、このような学科で、より深く、より専門的にCGを学べれば、自分の強みや個性を際立たせられる

同校の佐久間 修一先生が執筆した教科書『Houdini SOP&VEX編』(上写真右、全522ページ、オールカラー、A4サイズ)は、Houdiniの本質とプロシージャルについて解説した書籍で、現在は同校の学生のみに提供され、授業で使われている。ボーンデジタルからの出版も予定されており、2016年度内の販売を目指し準備中だ。本書の概要については佐久間先生のブログを参照してほしい

Point02:カリキュラム

業界標準ソフトの操作方法に加え、アートの原則や問題解決力も学べるか

基本的に専門学校のカリキュラムは、仕事で必要とされる実践的な知識と技術の修得を主眼に置いて編成されている。そのためCGの専門学校では、多くの会社が導入している業界標準ソフトを使い、CGの制作方法を学ぶことをカリキュラムの中心に据えている。

最近はMayaか3ds Maxのどちらか(あるいは両方)を導入している会社が多数派なので、必然的に専門学校でもMayaか3ds Maxのどちらか(あるいは両方)を教えている場合が多い。さらに、モデリング教育に力を入れるならZBrush、アニメーションとモーションキャプチャも教えるならMotionBuilder、エフェクトをはじめとする映像の表現力を磨くならHoudini、コンポジットも教える場合はAfter EffectsやNUKE、ゲームやVRなどのリアルタイムCGを教えるならUnityやUnreal Engineというように、進路に応じて追加で修得すべきソフトが変化していく。

なお、専門学校でMayaを学んだ学生が、3ds Maxで業務を行なっている会社に就職するといった事例は多々ある(もちろん、その逆もしかり)。「ソフトのちがいは、道具のちがいに過ぎません。CG制作に必要な本質的な力が備わっていれば、道具の使い方は入社後数ヶ月で修得できるので、学んだソフトの種類は重視しません」と語る会社の採用担当者は多い。つまり、業界標準ソフトの操作方法を学ぶだけでは、ライバルとの差をつけようがないのが実情だ。デッサンや色彩学といった表現の基礎力、演習を通した問題解決力などの本質的な力の修得も視野に入れ、各校のカリキュラムを精査してほしい。

▲京都コンピュータ学院では、Maya、After Effects、Photoshopなどの業界標準ソフトの操作方法に加え、デッサン、粘土造形、色彩学、写真撮影などを通した、表現の基礎力の修得にも力を入れている。さらにプロジェクト演習では、学生がチームを組んで作品制作に取り組み、コミュニケーション力、チームマネジメント、リーダーシップなどの修得を目指す

Point03:学校&仕事との相性

複数の専門学校のイベントや卒業制作展に通い、相性を探る

どれほど充実した設備やカリキュラムを備えた専門学校であっても、その校風、講師の教え方などが自分に合わなければ、学習効率は上がらない。入学してから「こんなはずではなかった!」と後悔しないために、気になる学校のイベントには必ず足を運んでほしい。

専門学校のWebサイトを見れば、学校見学会、体験授業、相談会など、入学希望者や保護者を対象とした様々なイベントの情報が掲載されている。基本的にイベント参加は無料のうえ、遠方在住者のために送迎・宿泊費用を支給してくれる場合もある。体験授業を受け、講師やスタッフ、在校生に質問や相談をして、学校と自分の相性を探ってほしい。この機会に、目指す仕事と自分の相性も探ると良いだろう。さらに例年2~3月頃に開催される卒業制作展に行けば、その学校に入学した場合の自分の未来を具体的に想像できる。

なお、複数の専門学校のイベントや卒業制作展に通い、各校を比較できればベストだ。候補となる学校を天秤にかけ、自分が一番納得できる学校に入学すれば、その後の学生生活で迷いが生まれることはないだろう。調べる手間を惜しまず、気後れせずに質問・相談する姿勢を大切にしてほしい。

▲東京デザインテクノロジーセンター専門学校では、入学希望者を対象とした、Myスクールプログラムとよばれる入学前の無料授業を実施している。これに参加すると、入学前からデッサンやデザインの学習を開始できる。早く行動し、より長い時間をかけた方が、自分の実力は高くなるし、相性もじっくり吟味できる。こういった機会を有効活用し、自分自身が納得できる学校を選ぶことが大切だ





TEXT_尾形美幸(CGWORLD)
PHOTO_写真素材ぱくたそ

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