2016.08.12 Fri

3DCGが広げる遊びの形>>スマートフォンゲーム・VRへの活用

『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』でスマートフォンゲームに3DCGを導入したコロプラ『ランブル・シティ』『白猫プロジェクト』などの人気作にも3DCGが効果的に使われているほか、近年注目を集めているVR(Virtual Reality)にも活用されている。同社のスタッフに、3DCGの今後の見通しや可能性について伺った。

※本記事は、『CGWORLD Entry』vol.15(2016年3月発行号)掲載の「今、急成長中の業界を徹底調査 3DCGが広げる遊びの形」を再編集したものです。

N氏(Kuma the Bear 開発本部デザイナー)

株式会社コロプラ

F氏(Kuma the Bear 開発本部デザイナー)

株式会社コロプラ

広がりのある3D空間の次は、VRによる没入体験に挑戦

描画性能の向上に伴い、スマートフォンゲーム開発における3DCGの活用が一般化し、3DCG制作に携わるデザイナーの数も急増している。同社は2013年3月にリリースした『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』を皮切りに、『白猫プロジェクト』『ランブル・シティ』など3DCGを効果的に活用した人気作を手がけてきた。

広告業界を経てゲーム業界に転職した異色の経歴を持つN氏は、3DCGの魅力は「奥行きや広がりのある空間」、「豊かなキャラクターアニメーション」、「制作コストの抑制」の3点だと分析する。「対象を一方向からの視点で切り取る2Dの表現技法では、カメラアングルが制限されるために自然と動きに制約が生まれるのに対し、3Dでは対象を回転させたり、カメラを回り込ませたりと、様々な動きを通してキャラクターの魅力を際立たせることができます。また、モデリングやアニメーションデータといったアセットの再利用ができるため、開発コストを抑えられる点も特徴ですね」(N氏)。

さらに同社ではVRの研究開発にも意欲的で、N氏もVRがやりたくて転職してきたというほど。「VRでは、3DCGによる"奥行きや広がりのある空間"から一歩進んで、本当にその世界に入り込んだような没入体験を味わえます。VRの映像コンテンツは一人称視点のものから、三人称視点、いわゆる"神の視点"で世界を見下ろすようなものまで様々ですが、いずれも3DCGの活用が欠かせません」と、VR分野での可能性を示唆する。

3Dをどう活用すれば、面白いコンテンツに仕上がるか

一方で、「端末が高性能化することとコンテンツの面白さは直結するものではない」と、家庭用ゲーム業界から同社へ転職してきた背景デザイナーのF氏は指摘する。「例えばカワイイ女の子やカッコ良い男の子のキャラクターを、プリミティブの球体や立方体に置き換えたとしても、コンテンツの面白さが損なわれないことが大切です。そのためにはコンテンツ本来の力が求められます。3DCGを使うことで表現の幅は広がりますが、あくまでコンテンツを制作する上での表現手段のひとつにすぎません。3Dをどう活用すれば、面白いコンテンツに仕上がるかを考えることが重要です」。

同社では2DCGと3DCGのデザイナーを分けることなく一括採用し、本人の適性や開発現場の状況をふまえた上で、様々なプロジェクトに配置する。そのため、入社時点ではPhotoshop未経験の2Dデザイナーや、Maya未経験の3Dデザイナーもいるという。現在の同社はPhotoshopやMaya、Unityを中心とした制作体制を敷くものの、それらが新しいツールや技術へと移り変わることもあり得る。コンテンツ開発に携わる限り、常に学び続ける姿勢が必要だからこそ、ツールの使い方は入社後に習得してもらえばいいという。

『Entertainment in Real Life ~エンターテインメントで日常をより楽しく、より素晴らしく~』を経営理念に掲げコンテンツ開発を続ける同社。様々なコンテンツの登場、技術の進化に終わりはないからこそ、何かひとつの技術や手法に固執することなく、『人を楽しませる』という本質の達成を目指す姿勢が重要なのだろう。

Point01:奥行きや広がりのある空間を表現

2DCGが画素(pixel)の集合体で描かれるのに対し、3DCGはポリゴンの集合体で描かれる。そのため奥行きや広がりのある空間を表現できる。その反面、3DCGは描画負荷が大きく、消費電力もかかるという点が課題だった。それを解決するため、『ランブル・シティ』では3DCGでデータを作成し、2DCGに変換するという折衷案が選択された。

▲本作では、【左】のようなポリゴンによる3Dモデルをプリレンダリングし、【右】のような2DCGとしてゲーム上に表示させている。この方法を取り入れることで、処理にかかる負荷を抑えつつ、見映えのする精緻なグラフィックス表現が可能となった。3DCGを使うと、ツタなどの複雑な形状の植生でも比較的容易に表現できるそうだ

『ランブル・シティ』

colopl.co.jp/rumblecity/

Point02:豊かなキャラクターアニメーション

『白猫プロジェクト』には数多くのキャラクターが登場する。これらのアニメーションを2DCGで表現する場合、事前に全キャラクターのアニメーションを作画する必要がある。制作には相応の時間を要する上、データ量も多くなる。一方3DCGの場合には、あるキャラクターに付けたアニメーションデータを別のキャラクターにも割り当てることができる。プロポーション・装備品・性別・性格などに応じて調整が必要な場合も多々あるが、効率的にアニメーションを制作できる。身体に加え、髪・装飾品・衣服などにもボーンを設定しておけば、身体の動きに追従させることも可能だ。さらに、地面の傾斜に応じて自動的に足首を曲げたり、手の動きに合わせて自動的に肘を曲げたりといった仕組み(リグ)も構築できる。これらの機能を活用すれば、バリエーション豊かなキャラクターアニメーションの量産が可能となり、コンテンツの魅力を高めることにつながる。

▲髪やマントを動かすための仕組み(リグ)を解説している


▲キャラクターのアニメーションに合わせ、髪やマントにも動きを付けている


共通のリグを設定しておけば、【左】と【右】のように、別のキャラクターに同じアニメーションデータを適用できる


『白猫プロジェクト』

colopl.co.jp/shironekoproject/

Point03:本格的VRコンテンツで必須となる3DCG

現在のVRコンテンツの中には、スマートフォンで手軽に再生できるパノラマ動画もあれば、Oculus Riftなどの専用ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を使うことで圧倒的な没入体験が可能なコンテンツもある。VRならではの没入感やインタラクションを楽しむには3DCGが不可欠のため、今後はVRコンテンツ開発における3DCGの可能性も大いに期待できる。同社では既に複数のVRコンテンツをリリースしており、現在も新たなVRコンテンツを開発中だ。

▲『VR Tennis Online』はオンライン対戦が可能なテニスゲームだ


▲新感覚脳トレVRパズルゲーム『Fly to KUMA』





TEXT_小野憲史
PHOTO_弘田 充

記事が気に入ったらシェアしよう!

New Post最新の記事はこちら

Ranking今週の人気記事

Findキーフレーズから探す

Top